・「普遍宗教（世界宗教）」とはどのような特徴をもつものか。説明せよ。
普遍宗教とは、特定の民族や人種、地域にとらわれず、すべての人類を救済の対象とする宗教のことです。いつでも、どこでも、誰にでも受け入れられる普遍的な教えを持つことを特徴とします。
・代表的な世界宗教を三つ挙げよ。
キリスト教、イスラーム、仏教の三つです。
・民族宗教の具体例をふたつ挙げよ。
ユダヤ教、ヒンドゥー教、神道などが挙げられます。
・次の表に入る語句を答えよ。
| キリスト教 | イスラーム | |
|---|---|---|
| 開祖の名前 | イエス | ムハンマド |
| 聖典の名前 | 聖書 | クルアーン（コーラン） |
・ユダヤ教の神は、何と呼ばれるか答えよ。
ヤハウェと呼ばれます。
・ユダヤ教における義務のことを律法という。律法の要となる10の掟のことを何と呼ぶか答えよ。
「モーセの十戒」または単に「十戒」と呼びます。
・上記の10の掟は神と交わされた契約であるとされる。この契約を何と呼ぶか、また、神とこれを結んだユダヤ人の名前を答えよ。
この契約は「シナイ契約」と呼ばれ、神と契約を結んだのは預言者モーセです。
・ユダヤ教の聖典は、キリスト教の立場から何と呼ばれるか答えよ。
「旧約聖書」と呼ばれます。
・ここにいう「福音」とはどういう意味か答えよ。
「良い知らせ」や「喜ばしい知らせ」という意味です。 具体的には、イエス・キリストによる神の愛と罪からの救いに関する教えを指します。
・キリスト教の聖典は何と呼ばれるか答えよ。
「新約聖書」です。 「旧約聖書」と合わせて「聖書」と呼ばれます。
・人間はなぜ平等であるのかをキリスト教の考えをもとに説明せよ。
すべての人類は神の子であり、等しく神から愛される存在であるから。
・黄金律とは何か説明せよ。
イエスが説いた「何事でも人々からしてほしいとあなたがたが望むことは、人々にもそのとおりにせよ」という教えのことです。
・キリスト教とユダヤ教は、どこが同じで、どこが違うのかを説明せよ。
共通点: どちらも唯一神ヤハウェを信仰する一神教であり、「旧約聖書」を聖典とするところは共通しています。
相違点: キリスト教がイエスを神の子・救い主（キリスト）として信仰するのに対し、ユダヤ教はイエスを預言者の一人とは考えますが、救い主とは認めません。 また、キリスト教がすべての人類を救済の対象とする普遍宗教であるのに対し、ユダヤ教はユダヤ民族が神に選ばれた民であるとする選民思想を持つ民族宗教である点が異なります。
・「神への絶対的帰依」を意味するアラビア語を答えよ。
イスラームです。
・イスラームの開祖の名前を答えよ。
ムハンマド（マホメット）です。
・イスラームの開祖の出身地を答えよ。
メッカです。
・イスラーム教徒のことは何と呼ばれるか。答えよ。
ムスリムと呼ばれます。
・イスラームの聖典は何と呼ばれるか。答えよ。
クルアーン（コーラン）です。
・イスラームの神は何と呼ばれるか。答えよ。
アッラーです。
・「偶像崇拝の禁止」とはどのようなものか説明せよ。
唯一絶対の神であるアッラー以外に、いかなる対象（像、絵画、自然物など）も崇拝の対象としてはならないという厳しい教えです。
・「六信五行」の内容を列挙せよ。
六信: アッラー（神）、天使、啓典（聖典）、預言者、来世、定命（天命）の六つを信じること。
五行: 信仰告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼の五つの義務を実践すること。
・イスラームには「ジハード（聖戦）」という考えがある。この考えについて説明したうえで、自身は賛成か反対であるかを、その理由と共に述べよ。
説明: ジハードとは、アラビア語で「努力」を意味し、イスラームの教えを広めるためのあらゆる努力を指します。内面的な精神の浄化（大ジハード）から、イスラーム共同体を防衛するための戦い（小ジハード）まで、幅広い意味合いを持ちます。
（回答例）: 私は、ジハードが本来持つ「内面的な努力」という側面には賛成ですが、それが「聖戦」として武力行使を正当化するために用いられることには反対です。いかなる宗教も、その教えが暴力や他者への不寛容を助長する形で解釈されるべきではないと考えます。対話と相互理解こそが、異なる信念を持つ人々が共存するために不可欠だからです。
・一神教であるユダヤ・キリスト教とイスラームとの共通点および相違点は何か。説明せよ。
共通点: 3つの宗教はいずれも同じ唯一神を信仰し、旧約聖書の多くの預言者（アブラハム、モーセなど）を共通の信仰の父として尊敬しています。
相違点: 最大の相違点は、イエスの位置づけにあります。キリスト教ではイエスを神の子・救い主としますが、ユダヤ教はそれを認めず、イスラームではイエスを偉大な預言者の一人とみなしますが、神とは考えません。 また、イスラームではムハンマドが最後の預言者であると信じられています。
・孔子が生きた時代および彼が生まれた国の名前は？
時代: 春秋時代（の末期） / 国: 魯
・孔子が生きた時代は、様々な思想家が活躍した時代である。彼らのことを何と呼ぶか。漢字四文字で答えよ。
諸子百家
・上記の思想家たちのなかで、特に大きな影響のあったものをふたつ挙げよ。
儒家、法家、道家などの中の二つ。
・孔子のいう「道」とはどのようなものか。説明せよ。
人が従うべき普遍的な真理や規範、社会秩序や政治のあり方など、人間社会の理想的な秩序を指します。
・孔子のいう「仁」とはどのようなものか。説明せよ。
他者に対する親愛の情や、思いやりの心のこと。 特に、家族愛（孝悌）をその基本とします。
・孔子のいう「礼」とはどのようなものか。「仁」との関係を踏まえて説明せよ。
「礼」とは、社会規範や道徳的規範、伝統的な作法や制度のことです。 内面的な道徳心である「仁」が、具体的な行動として外面に現れたものが「礼」であり、「仁」と「礼」は一体不可分であると孔子は考えました。
・孔子のいう「君子」とはどのような者のことか。説明せよ。
「仁」と「礼」を身につけ、高い道徳性を備えた理想的な人格者のことです。
・「徳治主義」とはどのようなものか説明せよ。
為政者が法や刑罰ではなく、自身の道徳的な人格（徳）によって人民を感化し、国を治めるべきだとする政治思想です。
・「法治主義」とはどのようなものか説明せよ。
為政者の個人的な徳ではなく、公平に適用される厳格な法や刑罰によって人民を統制し、国を治めるべきだとする政治思想です。
・「徳治主義」と「法治主義」のうち、どちらをより支持するか、自身の考えを述べたうえで、その理由を説明するせよ。
（回答例）: 私は、基本的には「法治主義」を支持しますが、「徳治主義」の理念も重要だと考えます。理由は、公平な社会を維持するためには、誰もが従うべき明確なルール（法）が不可欠だからです。しかし、法だけで人の心を動かすことは難しく、為政者や社会のリーダーが道徳的な模範を示す「徳治」の精神があってこそ、人々は自発的に法を守り、より良い社会を築こうと努力するようになると思うからです。
・「仁」を人間関係の基礎に置く孔子の思想について、賛成か反対か(部分的に賛成、反対等含む)。自身がそのように考える理由を説明せよ。
（回答例）: 私は、孔子が「仁」（思いやり）を人間関係の基礎に置いた思想に部分的に賛成です。家族や身近な人への愛情から始まり、それを他者へと広げていくという考え方は、自然な感情に基づいた道徳であり、共感できます。しかし、その一方で、身内への愛情を重視しすぎることが、時に公平さを欠いた判断につながる危険性もあると思います。そのため、普遍的な思いやりと、公平・公正な視点の両方をバランスよく持つことが現代社会では重要だと考えます。
・仏教の開祖の名前（本名）と出身身分を答えよ。
名前: ゴータマ・シッダッタ（ガウタマ・シッダールタ） / 身分: シャカ族の王子
・仏教の開祖は「ブッダ」とも呼ばれる。その意味を答えよ。
「目覚めた者」「真理に目覚めた者」という意味です。
・サンスクリット語での「真理」および漢字にした場合の文字を答えよ。
サンスクリット語では「ダルマ」、漢字では「法」と訳されます。
・仏教では、あらゆる生き物が逃れられない「生老病死」を漢字2文字で何というか。答えよ。
四苦
・すべての物事には原因があるという道理のことをなんというか。答えよ。
縁起の法
・苦しみの原因は何とされるか。三つ挙げよ。
貪（とん：むさぼりの心）、瞋（じん：怒りの心）、癡（ち：無知、真理を知らないこと）。これらをまとめて三毒と呼びます。
・自分や自分の所有物に執着する心は何と呼ばれるか。
我執（がしゅう）または煩悩（ぼんのう）
・八正道の実践とはどのようなのか。簡潔に説明せよ。
苦しみを滅ぼし、悟りに至るための8つの正しい実践方法のことです。正しい見解（正見）から始まり、正しい行い（正業）、正しい生活（正命）、正しい努力（正精進）などを実践します。
・仏教における基本的な考え方とされる「慈悲」とはどのようなものか説明せよ。
「慈」は生きとし生けるものに楽しみを与えたいという心、「悲」は他者の苦しみを抜き去ってあげたいという心のことです。 すべての生命に対する深い同情と思いやりの精神を指します。
・理性や言葉等の意味を持つギリシア語は？
ロゴス
・都市国家を意味するギリシア語は？
ポリス
・神話を意味するギリシア語は？
ミュトス
・元来はアクセサリーや秩序を意味し、転じて自然全体（宇宙）を指すようになったギリシア語は？
コスモス
・（神話的世界観とは異なる）古代ギリシアで生じた世界や人間についての新たらしい捉え方は何と呼ばれるか？また、その捉え方と神話的世界観との違いについて説明せよ。
捉え方: 自然哲学
違い: 神話的世界観（ミュトス）が世界の成り立ちを神々の物語によって説明するのに対し、自然哲学は、人間の理性（ロゴス）を用いて、自然を観察し、万物の根源（アルケー）を探求することで世界を合理的に説明しようとしました。
・水を万物の根源とみなした最初の哲学者の名前は？
タレス
・数を万物の根源とみなした哲学者の名前は？
ピタゴラス
・火を万物の根源とみなした哲学者の名前は？
ヘラクレイトス
・火・空気・水・土を万物の構成要素とみなした哲学者の名前は？
エンペドクレス
・原子論の創始者の名前は？
デモクリトス
・一般に「長所」や「それぞれのものが持つ、その種類に固有の良さ・卓越性」を意味するギリシア語は何か？
アレテー
・自然はギリシア語で何というか？
ピュシス
・法や慣習のことはギリシア語で何というか？
ノモス
・弁論の技術を教える教師は、ギリシア語で何と呼ばれるか？また、その代表者の名前は？
呼称: ソフィスト
代表者: プロタゴラス
私は、プロタゴラスの「万物の尺度は人間である」という考え方、すなわち相対主義に賛成します。
その理由は、この考え方が個人の価値観の多様性を認め、他者への寛容さを生むと考えるからです。
現代社会には、さまざまな文化、宗教、価値観を持つ人々が共存しています。何が正しく、何が美しいかといった判断は、その人が育った環境や文化、個人の経験によって大きく異なります。例えば、ある文化では礼儀正しいとされる行為が、別の文化では失礼にあたることもあります。
このような状況で、もし絶対的に正しい唯一の基準が存在すると信じれば、自分の基準に合わない他者を「間違っている」と断定し、対立や争いが生まれる原因になりかねません。
しかし、「万物の尺度は人間である」という相対主義の立場に立てば、自分たちの価値観が絶対ではないことを自覚し、他者の異なる価値観や視点を尊重しようという姿勢が生まれます。これは、現代のグローバル化した多文化共生社会において、人々が平和に共存していくために不可欠な考え方だと思います。
私は、プロタゴラスの「万物の尺度は人間である」という考え方、すなわち相対主義に反対します。
その理由は、この考え方を徹底すると、社会の秩序を維持するための共通の善悪の基準や、客観的な真実までも見失ってしまう危険性があるからです。
もし本当に「何が正しいかは人それぞれ」であるならば、「人を傷つけてはいけない」「盗みは悪いことだ」といった、社会の基礎となるべき道徳規範さえも否定することが可能になってしまいます。そうなれば、社会の秩序は崩壊し、単に「力の強い者」の意見や欲望がまかり通るだけの世界になりかねません。
また、この考え方は、科学的な事実や歴史的な出来事といった、客観的な真実の探求をも危うくします。例えば、「地球が丸い」という科学的事実に対して、「私は平らだと感じるから、それが私にとっての真実だ」と主張することが許されるようになれば、私たちは共通の土台の上で建設的な議論を行うことができなくなってしまいます。
個人の意見や価値観は尊重されるべきですが、社会が健全に機能するためには、私たちが共に守るべき普遍的な倫理や、客観的な真理の存在を認めることが不可欠です。そのため、あらゆる価値が同等であるとする相対主義には同意できません。